最後まで泳ぎ続けた高3生 最終回

暑くなったり、寒くなったり体調管理大変ですね。
皆さんは体調の方は大丈夫でしょうか?
少し長くなりましたが、最後まで泳ぎ続けた高3生の最終回です。
先回の続き。
2017年北信越大会の閉会式のあと、竜也くんはコーチに相談に来ました。
「コーチ、春のジュニアオリンピックを目指したい。」
この北信越高校で引退するものだと思っていたので、
「ということはこのまま選手続行おになるけど、大丈夫なのか?」
「続けます」
仲間から受けたエールで結果を出し、そのおかげで自信に満ちあふれ、やれば出来る事を確信しているからこそ断言できた言葉でした。
チャンピオンシップというカテゴリー(15歳以上高3生まで)は、出場する事自体が難しく、リレーでいえば過去10年間新潟県内の男子リレーで出場しているのは、1チームあるか無いか位いです。
突破してくる全国30チームの中で7割が学校からの出場という状況で、単独のスイミングで標準記録を突破するには相当難しい事です。
次の日から、休まず練習を続け新年が明けて2018年となりました。
4人のメンバーが揃って出場出来るレースは2回のみ。
最初の大会では4人とも調子よく、挑んだレースは残念ながら0.数秒で切れませんでした。
リレーの結果は、良くても悪くても全員で頑張った証です。
タイムを落とした選手がいれば、他の選手が上げれば良いことです。
ダッシュでは誰がどうしたという話はしません。
突破できなければ、どうしたら切れるか考え、次の日から練習に生かすだけです。
でも、レース後に、竜也くんは一人で泣いていました。
コーチたちから声をかけられても泣いていました。
現実の話、竜也くんは予定のタイムより1秒落としていました。
それで責任を感じて泣いていたのを、コーチたちは痛いほど感じていました。
これが最後という試合が始まりました。
リレーメンバー4人の調子が上がらない中、一人異常に緊張している選手がいます。
そう、竜也くんです。
「また、仲間の足を引っ張ってしまったらどうしよう」
これで切れなかったら終わる最終レース。
竜也くんは第2泳者。
第1泳者は先回のレースとトントン。
竜也くんは、何と、先回より1秒上げてきました。
「いいぞー!」コーチたちは叫びます。
第3泳者、第4泳者とも踏ん張り、とうとう標準タイムを切りました!
ダッシュ新津は大騒ぎです。
また竜也くんは成し遂げました。
仲間と一緒に成し遂げました。
仲間がいたから成し遂げられました。
ダッシュには
「個人は足し算、チームは掛け算」という言葉があります。
仲間同士が信頼し合いチームになれば掛け算の如く大きく育つという意味です。
正にこの言葉を実践してくれました。
今回は竜也くんにスポットを当てましたが、
決して才能に恵まれていた訳でもなかった彼が、
仲間を必要とするリレーという種目を通して大きく成長できたという話です。
みんなにもその可能性があると思います。
それを思えるか思えないかは選手次第。
ダッシュはたくさんの選手が在籍していますが、
なんでこんなに多いんだろうと思っている保護者の方もいると思います。
それは、
かけがいのない選手時代にダッシュの選手には仲間を多く作って欲しいと思っているからです。

【辰巳国際水泳場 リレーメンバー4人です】
これからも水泳を通して人間力向上を目指しましょう!