須田 雄介さん
1987年生まれ(現在28歳)
1999年~2005年にダッシュ三条校選手コースに7年在籍
(小6~高3)
分水中学校
三条高校
東京理科大学理工学部数学科
聞きたい(選手編)
- どんな選手でしたか?
精神的に弱く、練習も弱かったです。女子の後ろを泳ぐこともしばしば…。
でも、ベストタイムを毎年更新できていたので泳ぐことがとても楽しかったのを覚えています。
- 目標はありましたか?
北信越大会出場と、ダッシュのメドレーリレーでJO出場を目標にしていました。JOには自分のタイムが遅くて行けませんでしたが、北信越大会にはリレーと個人の両方で出場できました。ダッシュの仲間の中で見ると些細な目標でしたが、県大会決勝で8位入賞できたとき、仲間や家族が喜んでいる姿を見て、心から嬉しかったです。
- 選手コースで学んだことは何ですか?
『言うは易し、行うは難し』で表されるように、毎日努力を継続することの大切さを学びました。結果を大切にしながらも、仲間と一緒に泳ぎ続けた日々は何にも代えがたい時間であり、今も心の支えとなっています。
また、当時選手コースの指導をして下さった桑原進コーチの言葉で、『個人は足し算、チームはかけ算』という言葉をよく覚えています。他にもたくさん言われた言葉はあるのですが、チームで練習することの意味や仲間とともに努力することの大切さに気付かされた一言です。今では、私が一教員として水泳部顧問になっていますので、生徒たちに『なぜチームとして頑張るのか』を、桑原コーチの受け売りに自分なりの考えを加えて指導しています。
聞きたい(職業編)
- 今の職業を目指そうと思ったきっかけ
【高校教員(都立高校)】
私が卒業してきた学校とそこにいた仲間、先生方との巡り合わせが素晴らしく、楽しくない学校生活は全くありませんでした。なので、自然と教員になりたいと思うようになり、その中で高校教員ならば、水泳部顧問として水泳の指導も出来ると思い、目指しました。やはり、桑原コーチの影響も大きく、何かしらの指導者になることに憧れたのだと思います。また、地元新潟で教員にならなかったのは、『人生一度しかないのだから、住んだことのない場所で、知り合いが誰もいない環境で挑戦したい。』という気持ちがありました。現在は水泳部顧問としてだけでなく、東京都高等学校体育連盟水泳専門部に所属し、高等学校の大会運営にも携わっています。選手コース時代に憧れた辰巳のプールで青ポロシャツを着て役員もしているのが、何だか不思議な感じです。
- 辛いこと、悩むことは何ですか?
生徒たちと接する中で、誰に対しても上手くいく指導法などなく、授業や部活のすべてで悩み続けています。ある生徒にはわかりやすくても、別の生徒は全く理解できていない…このような状況はいつものことで、私が考えるのを止めてしまったら生徒の成長も止めてしまいます。たった3年間しかない高校生活を、少しでも実りある物にすべく、研鑽を積んでいます。部活の具体例でいうと、クラブチームのような恵まれた施設はなく、ほとんどの都立高校はプールが屋外にあり、冬場はどこかの施設を借りなければ泳げません。そういった環境に対するフォローや、陸上トレーニングの充実にも頭を悩ませています。
- 大きな失敗はありますか?
教員1年目の5月に、当時の勤務校で、出会って1ヶ月も経っていない水泳部の生徒と全面衝突しました。正直、田舎者の私にとって東京の高校生はカルチャーショックの連続で、理解不能なことばかりでした。
- その失敗からどのような今に至りますか?
当時の私は大学を出たばかりで右も左もわからず、ひたすらに生徒のことを頭ごなしに指導してばかりでした。しかし、このままでは何も変わらないと思い、生徒の言葉を時間をかけてきちんと聞くように心掛けました。すると、生徒たちも少しずつ私に考えや気持ちを話してくれるようになり、次第にそれぞれの想いを共有できるようになりました。最終的には卒業式で、私と衝突した過去から学んだことや、そのことも含めて水泳部の思い出が高校生活の全てだと話してくれ、私は号泣してしまいました。
あのときの経験がなければ、今の私は存在していません。人間同士が関わるとき、必ず意見の違いや考えの不一致はあります。その現実を見つめて、お互いを理解する努力が必要であり、最後には必ずわかり合えると信じて、今の高校でも生徒たちの言葉に耳を傾けています。
何よりも嬉しいのは、あのとき衝突した生徒の1人が今年の4月から私と同じ教員として教壇に立つことです。まだどこで教員になるのかは不明ですが、場所など関係なく、正面から生徒と向き合える教員になって欲しいと思いますし、私もまだまだ勉強不足ですので、教え子に負けぬよう努めていきます。
- 最後に一言
人生を豊かに生きていくためには、『目標』が必要です。でも、自分1人の力で達成できる『目標』はあまり多くありません。家族や仲間はもちろん、自分に関わる全ての人に支えられていることを忘れないで下さい。そして、周りに支えられていることを素直に感謝できる人ほど、逞しく強いものです。『個人は足し算、チームはかけ算』ですから、支えられているだけでなく、自分が他の誰かの力にもなっています。そんな素晴らしい環境が実践されているダッシュOBであることを誇りに思い、私もダッシュ魂を引き継いで頑張ります。